生活習慣病

脂質異常症について

わたしたちの血液の中には、コレステロールや中性脂肪、リン脂質、脂肪酸脂質などが含まれています。このうち、LDL（悪玉）コレステロールや中性脂肪の数値が基準値よりも高い場合は、「脂質異常症」と診断されます。なお、HDL（善玉）コレステロールの数値が基準とされる数値よりも低い場合も、脳卒中や虚血性心疾患などの病気のリスクが高くなるので、治療が必要になります。健康診断などで、LDLコレステロール値が140mg/dL以上（高LDLコレステロール血症）、中性脂肪（トリグリセライド）値が150mg/dL以上（高トリグリセリド血症）、HDLコレステロール値が40mg/dL未満（低HDLコレステロール血症）となったときは、お早めに当院をご受診ください。

脂質異常症の予防法

• 栄養バランスのとれた食事
• コレステロールを多く含む食品を控える
• 糖質（炭水化物）を摂りすぎない
• お酒はほどほどにする
• 毎日30分以上の有酸素運動を行う
• 適正体重に近づける
• 十分な睡眠をとる
• ストレスを溜めない
• タバコを吸われる方は、禁煙する　など

脂質異常症の治療

脂質異常症の治療にあたっては、食事療法と運動療法、薬物療法を行います。まずは生活習慣を改善し、中性脂肪などの適正化を目指します。脂身の多いバラ肉やロース肉は控え、メインのおかずは魚をお勧めします。さらに、野菜や大豆製品は積極的に食べましょう。運動療法では、ジョギングやスイミングなどを毎日30分程度は行い、体重を適正にコントロールします。それでも十分な改善が見られないときは、薬物療法が必要になります。

高尿酸血症について

高尿酸血症は、血液中に含まれる尿酸という物質の量が増えすぎてしまう病気です。具体的には、血中の濃度を表す尿酸値が7.0mg/dLを超えたときに診断されます。ここでいう尿酸とは、プリン体を分解したときにできる老廃物です。プリン体は核酸の主成分で、細胞の代謝や体を動かすエネルギーとして重要な物質のため、ほとんどの生物の細胞内に存在します。とくに肉類や魚類、鶏卵、魚卵などに多く含まれています。

また、ビールなどのアルコール飲料を飲み過ぎると、尿酸値が高くなります。最近はノンアルコールビールを飲まれる方も多いようですが、この場合はプリン体の摂取量が少なくなります。ただし、商品の中には尿酸値を上げやすくするものもあるので、注意が必要です。

痛風

尿酸は水に溶けにくい性質であるため、血中濃度の高い状態が続くと、針状結晶の尿酸塩が作られます。とくに、足の親指付近の関節に蓄積することが多く、これによって強い炎症作用が起こります。このような状態が「痛風発作」です。激しい痛みだけでなく、熱や腫れなどもみられます。こうした痛風発作は数時間～1日以内でピークに達し、その後は次第に収まります。ただし、高尿酸血症の治療をしないで放置していると、何度も痛風の発作を繰り返すようになります。患者さんによっては、痛風腎や尿路結石、関節変形などが起こることもあります。

高尿酸血症（痛風）の予防について

高尿酸血症（痛風）のリスクを下げるには、普段から生活習慣を見直すことが重要です。下表の各項目を参考にして、日常的に予防しておくようにしてください。

• プリン体の多い食物の摂り過ぎには注意しましょう
• お酒はほどほどにしましょう
• お腹いっぱい食べないようにしましょう
• 太り過ぎには注意しましょう
• 水分を十分にとりましょう
• 適度な運動を続けましょう

高尿酸血症（痛風）の治療

高尿酸血症の治療は、食事療法と運動療法、薬物療法の三本柱で行います。患者さんのタイプにもよりますが、基本的には食習慣を見直ししていく食事療法が重要になります。魚卵や鶏卵、肉、魚などは、とくにプリン体が多く含まれるため、過剰に摂取しないように注意します。ビールなどのアルコール飲料の中には、プリン体ゼロをアピールしている商品もありますが、アルコール自体に尿酸を高める作用がありますので、あまり飲み過ぎないようにすることが大切です。また、水分をしっかり摂取することや、野菜を積極的に摂ることも心がけてください。

糖尿病について

糖尿病は、血液中に含まれているブドウ糖の濃度（血糖値）が慢性的に上昇したままの状態になる病気です。ブドウ糖は細胞に取り込まれることで、脳のエネルギー源となりますが、その際には膵臓で作られるインスリンの働きが不可欠です。健康な人の場合も、食事によって血糖値が一時的に上昇しますが、インスリンが分泌されることで再びバランスがとれるようになります。

糖尿病になると、インスリンが何らかの原因によって分泌されなくなったり、量が不十分になったりするので、ブドウ糖が細胞に取り込まれずに血液中でダブつくようになります。このような状態が続くため、血糖値が十分に下がらなくなるのです。

このような症状の方は当院をご受診ください

• 健康診断で血糖値の異常を指摘された
• 以前と比べて体重が増えてきた
• 食事の量が増えた
• いくらでも食べられる
• 急に甘いものが欲しくなる
• よく食べるのに痩せる
• 喉がよく渇く
• 尿の回数が多くなった
• 尿の臭いが気になる
• 下腹部がかゆい
• 手足がしびれる
• 怪我をしても痛みを感じない
• 視力が落ちてきた　など

糖尿病の種類

糖尿病にはいくつかの種類がありますが、その中でも最も多いのが、生活習慣病のひとつとされている「2型糖尿病」です。膵臓が疲弊してしまい、インスリンの分泌量が不足したり、インスリンの効きが悪い状態に陥ったりします。とくに、糖尿病になりやすい体質の方が長期にわたって不摂生な生活習慣を続けることで発症します。ご飯を食べ過ぎる方、揚げ物などを好まれる方、運動不足の方、肥満傾向の方はリスクが高くなるので、普段から生活習慣を見直すようにしてください。

糖尿病には、「1型糖尿病」と呼ばれるタイプもあります。これは、インスリンを作成する膵臓のβ細胞が自己免疫の異常などによって破壊されてしまい、インスリンがほぼ分泌されていない状態となります。慢性的に高血糖が続くので、多尿・頻尿、異常な喉の渇き、易疲労感、体重減少といった症状が現れるようになります。

主な治療法

1型糖尿病の場合は、体内で分泌されていないインスリンを体外から補充する必要があるので、定期的にインスリン皮下注射を行います。基本的には、朝・昼・晩の食事と就寝前の1日計4回、インスリン注射をおこないます。これによって血糖をコントロールしていきます。

2型糖尿病の場合は、インスリンが少しは分泌されている状態なので、まずは生活習慣の改善から始めていきます。とくに、食事療法を取り入れて血糖値が高くならないようにしていきます。患者さんの状態を見極めたうえで、カロリー摂取量を適正にする、栄養バランスのとれた食生活にする、1日三食を規則正しくとる、糖質や脂肪の量を減らすなどの食事療法を行います。さらに、運動療法によってブドウ糖の消費が増えるようにします。具体的には、ジョギングやスイミングなどの有酸素運動を定期的に行います。

なお、食事療法や運動療法だけでは効果が不十分という場合は、経口血糖降下薬などを使った薬物療法が必要になります。それでも血糖コントロールが難しいときは、1型糖尿病と同様にインスリン療法となります。