• 2026年10月27日
  • 2026年10月26日

便秘と下痢を繰り返す原因とは?考えられる病気と大腸カメラの受診目安

便秘と下痢を繰り返す原因と考えられる病気、大腸カメラの受診目安を説明するアイキャッチ画像
かなもり内科婦人科クリニック / 消化器内科・大腸カメラ

「数日間便秘が続いたと思ったら、今度は急に下痢になる」「硬い便が出た翌日に、水のような便が何度も出る」といった経験はありませんか?

便秘と下痢を繰り返す原因には、食事や生活習慣、ストレス、腸の働きの変化などがあります。過敏性腸症候群(IBS)が関係することもありますが、なかには大腸の炎症や大腸がんなど、検査が必要な病気が隠れている場合もあります。

便秘と下痢を交互に繰り返すからといって、必ずしも重大な病気とは限りません。 しかし、以前とは明らかに排便の状態が変わった場合や、腹痛・血便・体重減少などを伴う場合は注意が必要です。

この記事では、便秘と下痢を繰り返す主な原因、考えられる病気、受診する目安、大腸カメラで確認できることについて、さいたま市緑区・浦和美園のかなもり内科婦人科クリニックが解説します。

便秘と下痢を交互に繰り返すのはなぜ?

便の状態は腸の動きや水分量によって変わる

大腸には、便に含まれる水分を吸収しながら、便を肛門へ運ぶ働きがあります。便が腸の中に長くとどまると水分が多く吸収され、硬くなりやすくなります。一方、便が速く腸内を通過したり、水分の吸収が十分に行われなかったりすると、軟便や下痢になることがあります。

腸の動きや水分の吸収状態が変化すると、硬い便が出る日と軟らかい便が出る日が混在する場合があります。ただし、便秘と下痢が交互に起こるという症状だけでは、原因を特定できません。 症状が始まった時期、腹痛の有無、排便回数、便の形などを総合的に確認します。

「便秘のあとに下痢」と「便秘・下痢が交互」は同じ?

便秘のあとに軟らかい便が出る場合は、便の停滞や下剤の使用などが関係していることがあります。硬い便がたまった周囲から液状の便が出る場合もあります。

便秘の日と下痢の日を長期間繰り返す場合は、過敏性腸症候群などの病気が関係していることがあります。症状の現れ方に違いがあるため、継続する場合は医療機関で原因を確認することが大切です。

便秘と下痢を繰り返す主な原因と病気

① 過敏性腸症候群(IBS)

便秘と下痢を繰り返す原因の一つとして、過敏性腸症候群(IBS)が挙げられます。IBSは、腹痛と関連する便通異常が繰り返し起こる病気です。腸の運動や刺激に対する感じ方が変化し、排便の状態が不安定になることがあります。

  • 腹痛を繰り返す
  • 便秘や下痢が続く
  • 便秘と下痢を交互に繰り返す
  • 排便によって腹痛が軽くなることがある
  • お腹の張りや不快感がある

IBSには便秘型・下痢型・混合型・分類不能型があります。混合型IBSでは、硬い便と軟らかい便・水様便の両方が繰り返し現れます。

日本消化器病学会の「患者さんとご家族のための過敏性腸症候群(IBS)ガイド2023」でも、腹痛と便通異常の特徴や診断の考え方が説明されています。ただし、便秘と下痢が交互に起きることだけでIBSと判断できるわけではありません。

② 便秘による便の停滞

慢性的な便秘で硬い便が腸内に多くたまると、便の周囲を液状の便が通り抜け、下痢のように見えることがあります。これを一般に溢流性下痢(いつりゅうせいげり)と呼ぶことがあります。特に高齢の方や排便機能が低下している方などで起こる場合があります。

日本大腸肛門病学会の「便失禁診療ガイドライン2024年版」でも、糞便塞栓に伴う溢流性便失禁について説明されています。

このような場合、単なる下痢と思って自己判断で下痢止めを使うと、便の停滞が悪化する可能性があります。便秘が続いた後に少量の水様便が出る場合は、医療機関で相談しましょう。

③ 食事・生活習慣・ストレスの影響

食事時間の乱れ、水分摂取不足、アルコール、睡眠不足、運動不足などは便通に影響することがあります。また、腸と脳は相互に影響し合い、ストレスによって腸の動きや知覚が変わる場合があります。

  • 食事の時間や内容が不規則
  • 水分摂取量が少ない
  • 脂肪分の多い食事やアルコールを多くとる
  • 睡眠不足、生活リズムの乱れ
  • 精神的なストレスや運動不足

日本消化器病学会のIBSガイド2023でも、ストレスや食事、腸と脳の相互作用を取り上げています。ただし、ストレスがあるからといって原因がストレスだけとは限りません。

④ 潰瘍性大腸炎・クローン病などの炎症性腸疾患

潰瘍性大腸炎やクローン病は、腸に慢性的な炎症が起こる炎症性腸疾患(IBD)です。下痢・腹痛・血便・発熱・体重減少などがみられ、症状が落ち着く時期と悪化する時期を繰り返すことがあります。

IBDでは下痢が主体となることが多く、便秘と下痢の交互が典型的な症状とは限りません。しかし、便通異常に血便・腹痛などを伴う場合に確認したい病気の一つです。詳しくは日本消化器病学会の「炎症性腸疾患(IBD)ガイド2023」をご参照ください。

⑤ 大腸がんなどによる腸の通過障害

大腸の内部に腫瘍ができ、進行して腸の通り道が狭くなると、便の通過が妨げられ、便秘・下痢・細い便・残便感・お腹の張りなどが現れる場合があります。血便を伴うこともあります。

国立がん研究センターの「大腸がん(結腸がん・直腸がん)について」では、これらの症状や、初期には自覚症状がほとんどないことも説明されています。

便秘と下痢の繰り返しだけで大腸がんと判断することはできません。 しかし、便通の変化が続く場合は、原因を確認することが重要です。

⑥ その他の病気や薬の影響

感染性腸炎の後に腸の調子が不安定になる場合や、甲状腺機能の異常などが便通に影響する場合もあります。下剤・抗菌薬・その他の薬剤やサプリメントによって軟便や下痢が起こることもあるため、受診時には服用中のものを医師に伝えましょう。

便秘と下痢を繰り返す原因として過敏性腸症候群、便の停滞、腸の炎症や腫瘍などを比較した図解
図解① 便秘と下痢を繰り返す主な原因

過敏性腸症候群と大腸がんはどう違う?

便秘と下痢を繰り返す方の中には、「過敏性腸症候群なのか、大腸がんなのか」と不安になる方もいるでしょう。両者は便通異常という点で症状が重なることがありますが、病気の性質や確認方法が異なります。

比較項目 過敏性腸症候群(IBS) 大腸がん
主な特徴 腹痛と便通異常を繰り返す 初期は無症状のことも多い
便秘・下痢 両方を繰り返す混合型がある 腸が狭くなることで起こる場合がある
腹痛 排便と関連して起こることがある 腹痛がない場合もある
血便 典型的な症状ではない 症状として現れる場合がある
確認方法 症状の経過と必要な検査を踏まえて診断 大腸カメラ・病理検査などで確認

※一般的な特徴の比較であり、この表だけで病気を判断することはできません。

血便や体重減少がある場合は特に注意

血便、原因不明の体重減少、貧血、発熱などがある場合は、IBSだけだと自己判断せず、ほかの病気がないか確認する必要があります。また、これまで便通が安定していた方に突然変化が起きた場合にも、医師へ相談しましょう。

日本消化器病学会のIBSガイド2023でも、警告症状や年齢、家族歴などを踏まえ、必要に応じて大腸内視鏡検査などを行うと説明しています。

IBSが疑われる場合

腹痛と便通の変化が繰り返され、排便との関連がみられることがあります。ただし、診断にはほかの病気を考慮することが必要です。

別の病気を考慮する場合

血便・体重減少・貧血などを伴う場合や、新たに便通が変わった場合は大腸の炎症や腫瘍などの確認を検討します。

病院を受診した方がよい症状と危険なサイン

消化器内科への相談をおすすめする症状

以下のような状態がある場合は、消化器内科などで相談しましょう。

  • 便秘と下痢を繰り返す状態が続いている
  • 以前より排便回数や便の形が明らかに変わった
  • 腹痛やお腹の張りを繰り返す
  • 排便後もすっきりしない、便が細くなった
  • 健康診断で貧血を指摘された
  • 家族に大腸がんの方がいる

便通異常について、単純に「何日以上なら大腸がん」という基準はありません。普段と違う排便状態が繰り返される場合には、長期間自己判断で放置しないことが大切です。

早急な受診が必要なサイン

血便・黒色便が出る: 消化管からの出血が考えられます。大量の出血、ふらつき、冷や汗を伴う場合は緊急性があります。

強い腹痛・嘔吐・便もガスも出ない: 腸閉塞などの可能性があります。通常の外来予約を待たず、速やかに医療機関を受診してください。

高熱や強い脱水症状がある: 発熱を伴う激しい下痢や水分が十分にとれない状態が続く場合は、脱水や感染症などに注意が必要です。

原因不明の体重減少・貧血がある: 大腸の炎症や腫瘍などが関係している場合があります。早めに原因を確認しましょう。

国立がん研究センターの大腸がんの症状に関する説明でも、腸閉塞が起こると便が出なくなる、腹痛や嘔吐が現れるなどの症状が説明されています。

便秘と下痢を繰り返す際に注意したい腹痛、血便、体重減少や貧血、便の形の変化、便やガスが出ない状態の図解
図解② 消化器内科への相談や早急な受診を考えたいサイン
激しい腹痛・繰り返す嘔吐・便もガスも出ない状態があるときは、救急受診も含めて速やかな対応を検討してください。

便秘と下痢を繰り返す場合に行う検査

便秘と下痢を繰り返す方すべてに大腸カメラが必要になるわけではありません。医師が症状や年齢、既往歴、家族歴、検査歴などを確認して検査内容を判断します。

問診・診察

症状が始まった時期、便秘と下痢の起こり方、腹痛や血便、体重減少の有無、使用している薬、過去の検査歴などを確認します。「いつ」「どのような便が」「どれくらい続くか」を伝えると、原因を調べる手がかりになります。

血液検査・便検査など

必要に応じて血液検査で貧血や炎症の有無を確認し、便検査や腹部超音波検査などを組み合わせることがあります。検査は症状や診察結果によって異なります。

大腸カメラ(大腸内視鏡検査)

血便、貧血、原因不明の体重減少などがある場合や、大腸の病気が疑われる場合に検討します。大腸カメラは、肛門から内視鏡を挿入して大腸の粘膜を直接観察する検査で、大腸がん・大腸ポリープ・炎症・腸が狭くなっている病変などを確認できます。

必要に応じて組織を採取したり、状態に応じてポリープ切除を検討したりします。日本消化器内視鏡学会の「大腸内視鏡検査と治療」でも、検査で観察する部位や前処置、検査・処置内容について説明しています。

大腸カメラで異常がなければIBS?

大腸カメラで明らかな病変が見つからなかった場合、IBSなどの機能性消化管疾患が考えられることはあります。ただし、大腸カメラで異常がなければ必ずIBSというわけではありません。 症状の特徴や経過、ほかの検査結果などを総合的に判断します。

大腸カメラで確認できる大腸ポリープ、大腸の炎症や潰瘍、腸の狭窄を大腸の図で説明した画像
図解③ 大腸カメラで確認できる病変

日常生活で見直したいポイント

便秘と下痢を繰り返す場合、日常の過ごし方を整えることで症状が改善することがあります。ただし病気が原因の場合もあるため、生活習慣の見直しだけで長期間様子を見続けることは避けましょう。

食事の時間と内容を整える

できるだけ一定の時間に食事をとり、暴飲暴食を避けましょう。脂肪分の多い食事やアルコールなどで悪化する場合は摂取量を見直します。食品による影響には個人差があり、必要以上に食事を制限する必要はありません。

水分不足に注意する

便秘がある場合は普段の水分摂取が不足していないか確認しましょう。下痢が続くと水分が失われやすくなるため、脱水にも注意が必要です。水分がとれない、尿量が少ない、ふらつくといった場合は医療機関に相談してください。

睡眠・運動・ストレスへの対処

睡眠不足、不規則な生活、ストレスは腸の働きに影響することがあります。適度な運動や休養も役立つ場合がありますが、症状が続く場合は原因の確認が重要です。

排便の記録をつける

排便した日・回数・便の形や硬さ・腹痛・血便の有無・食事や服薬との関係などを記録しておくと、診察時に説明しやすくなります。

下剤や下痢止めの自己判断に注意

便秘と下痢を繰り返すと、市販の下剤や下痢止めを使いたくなることがあります。しかし原因によって適切な薬は異なり、便の停滞や感染症、炎症などが関係する場合は使い方に注意が必要です。

下剤と下痢止めを自己判断で使い分け続けず、症状が続く場合は医師や薬剤師に相談しましょう。

かなもり内科婦人科クリニックの消化器内科・大腸カメラ

さいたま市緑区・浦和美園のかなもり内科婦人科クリニックでは、便秘や下痢、腹痛、便通の変化など、消化器症状についてご相談いただけます。「繰り返す原因を知りたい」「大腸の病気が心配」という方も、まずは消化器内科へご相談ください。

当院の大腸カメラの特徴
  • 内視鏡専門医による検査:日本消化器内視鏡学会専門医である金森瑛院長を中心に検査を行います。
  • 鎮静剤を使用した検査に対応:患者さんの状態や医師の判断に応じて対応します。
  • 炭酸ガスを使用:検査後のお腹の張りなど、負担の軽減に配慮します。
  • ポリープ切除にも対応:病変の状態・服薬状況などによっては当日対応できない場合があります。
  • 浦和美園駅から徒歩1分:さいたま市緑区や周辺地域から受診しやすい立地です。

鎮静剤を使用した場合は、検査後に休む時間が必要です。また、当日の自動車・バイク・自転車の運転はできません。 鎮静の効果やリスクは患者さんによって異なるため、事前にご相談ください。日本消化器内視鏡学会の「鎮静薬のメリットとリスク」も参考になります。

検査方法や前処置については、当院の診療ページをご確認ください。

よくある質問(Q&A)

便秘と下痢を交互に繰り返すのは、過敏性腸症候群ですか?

過敏性腸症候群(IBS)の可能性はありますが、それだけで診断することはできません。IBSには混合型がありますが、診断には腹痛の特徴、症状の経過などを確認し、必要に応じてほかの病気を考慮します。

便秘のあとに下痢になるのは、腸に便がたまっているからですか?

便の停滞が関係する場合もありますが、原因は一つではありません。硬い便の周囲を液状の便が通る場合もあれば、IBSや食事、薬の影響などでも便通は変わります。

腹痛がなければ大腸がんの心配はありませんか?

腹痛がなくても大腸の病気を否定することはできません。大腸がんの初期は自覚症状がほとんどないこともあります。便通の変化が続く、血便・貧血・体重減少がある場合は受診しましょう。

便秘と下痢を繰り返す場合、必ず大腸カメラが必要ですか?

すべての方に必要となるわけではありません。症状、年齢、血便の有無、家族歴、検査歴などを確認し、医師が検査の必要性を判断します。

ストレスが原因なら、病院へ行かなくても大丈夫ですか?

ストレスが便通に関係することはありますが、ほかの病気が隠れている可能性もあります。症状が長く続く場合や、以前と明らかに排便状態が変わった場合は医療機関で相談しましょう。

食物繊維を増やした方がよいですか?

食物繊維の摂取が役立つ場合もありますが、原因によって適切な対応は異なります。強い腹痛・嘔吐・お腹の張りがある場合などは自己判断で食物繊維や下剤を増やさず、医師に相談してください。

まとめ|便秘と下痢を繰り返す場合は原因を確認しましょう

自己判断で放置せず、続く変化は相談を

便秘と下痢を繰り返す原因には、生活習慣やストレス、過敏性腸症候群、便の停滞などさまざまなものがあります。一方、大腸の炎症や大腸がんなど、検査が必要な病気が関係している場合もあります。

  • 便秘と下痢を繰り返すという症状だけでは、原因を判断できません。
  • 血便・体重減少・貧血・腹痛などを伴う場合は、早めの受診が重要です。
  • 症状や検査歴に応じて、大腸カメラなどの検査を検討することが大切です。

「どこまで様子を見てよいかわからない」と悩んでいる方は、一人で判断せず、消化器内科へご相談ください。

かなもり内科婦人科クリニック院長の金森瑛医師を紹介する監修医師画像
監修医師プロフィール

金森 瑛(かなもり あきら)

かなもり内科婦人科クリニック 院長

大学病院や地域基幹病院で一般内科・消化器内科・救急診療などに従事し、内視鏡検査を含む消化器疾患の診療に取り組んでいます。

略歴

  • 2012年獨協医科大学医学部医学科卒業/獨協医科大学病院 臨床研修医
  • 2014年獨協医科大学 内科学(消化器)講座
  • 2016年足利赤十字病院 内科
  • 2019年足利赤十字病院 内科 副部長
  • 2022年独立行政法人国立病院機構宇都宮病院 消化器病センター医長、内科系診療部長
  • 2024年獨協医科大学医学部 内科学(消化器)講座 講師

所属学会

  • 日本内科学会
  • 日本消化器病学会
  • 日本消化器内視鏡学会
  • 日本肝臓学会

資格

  • 医学博士
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
  • 日本肝臓学会肝臓専門医
  • 日本医師会認定産業医

略歴・資格・所属学会の出典:かなもり内科婦人科クリニック 医師紹介

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