- 2026年7月18日
- 2026年7月17日
内視鏡検査の鎮静剤による副作用とは?安全に受けるための6つのポイント

内視鏡検査の鎮静剤とは何か?どんな薬が使われるのか?
内視鏡検査の鎮静剤とは、胃カメラ(上部消化管内視鏡)や大腸カメラ(下部消化管内視鏡)の検査中に、苦痛・不安・緊張を和らげるために静脈内投与する薬剤のことです。完全に意識をなくす全身麻酔とは異なり、「呼びかけに反応できる程度の浅い眠り(意識下鎮静)」を目標とします。
浦和美園の内視鏡検査 かなもり内科婦人科クリニック
鎮静剤について不安のある方へ
鎮静剤は苦痛の軽減に役立ちますが、副作用や検査後の注意点もあります。当院では体調や持病を確認したうえで、ていねいにご説明します。ご相談ください。
主に使われる鎮静薬の種類
内視鏡検査で使用される代表的な薬剤は以下の通りです。
- ミダゾラム(ドルミカム)…最も広く使われるベンゾジアゼピン系薬剤。半減期が短く検査後に比較的早く覚醒できます。逆行性健忘効果があり、検査中の不快な記憶が残りにくい特徴があります。
- ジアゼパム(セルシン・ホリゾンほか)…飲酒量の多い方など、ミダゾラムが効きにくい場合に使用されます。半減期が長く、検査後も眠気が持続しやすい点に注意が必要です。
- ペンタゾシン(ソセゴン)…鎮痛作用を主体とした薬剤で、腸が伸びる際の腹痛軽減に有効です。睡眠薬・安定剤を常用している方にも効果が期待できます。
鎮静レベルの定義(意識下鎮静とは)
内視鏡検査で目標とする鎮静は「意識下鎮静」です。これは「問いかけまたは触覚刺激に対して意図して反応できる」状態を指し、全身麻酔のように自発呼吸が消失するレベルとは明確に異なります。
- 不安除去…問いかけに正常に反応、気道・呼吸・心血管機能はすべて正常
- 意識下鎮静…問いかけや触覚刺激に反応可能、自発呼吸は適切に維持
- 深い鎮静…繰り返しまたは痛みを伴う刺激に反応、気道確保が必要なことがある
- 全身麻酔…疼痛刺激にも反応しない、気道確保・人工呼吸器が必要
内視鏡検査では原則として「意識下鎮静」を目標とし、患者さんの状態に応じて薬剤量を細かく調整します。

鎮静剤の副作用にはどんなものがあるのか?
内視鏡検査の鎮静剤で起こりうる主な副作用は、血圧低下・呼吸抑制・逆行性健忘・アレルギー反応の4つです。いずれも頻度は低いですが、事前に把握しておくことが大切です。
①呼吸に関する副作用
鎮静剤はすべて呼吸・吸収経路に影響を与えます。具体的には以下のような症状が起こりえます。
- 呼吸困難・呼吸停止…薬剤が予想以上に効いた場合に呼吸が浅くなる・止まることがあります。
- 気道閉塞…筋肉が弛緩することで舌根が沈下し、気道が塞がれるリスクがあります。
- 低酸素症…呼吸が抑制されることで血中酸素濃度が低下します。
これらを早期に発見するため、検査中はパルスオキシメーター・心電図・血圧計・呼吸状態の視診によるモニタリングが継続して行われます。
②循環器に関する副作用
血圧低下は鎮静剤使用時に比較的多くみられる副作用です。特に高齢者・心疾患のある方・脱水状態の方では注意が必要です。心拍数の変動(徐脈・頻脈)が起こることもあります。
③中枢神経に関する副作用
- 逆行性健忘…ミダゾラムに特徴的な副作用で、検査前後の記憶が低下・消失することがあります。検査後の説明内容を忘れてしまうケースもあるため、同伴者への説明や書面での情報提供が重要です。
- 過鎮静(意識の予想外の低下)…薬剤が想定以上に効いてしまい、覚醒に時間がかかることがあります。
- 検査後の眠気・ふらつき…特にジアゼパムは半減期が長いため、検査後数時間にわたり眠気が続くことがあります。
④アレルギー反応
まれに薬剤に対するアレルギー反応(発疹・かゆみ・アナフィラキシー)が起こることがあります。過去に薬剤アレルギーがある方は必ず事前に申告してください。
鎮静剤のリスクが高い方はどんな人か?
高齢者・肝機能障害・腎機能障害・慢性閉塞性肺疾患(COPD)・心疾患・高度肥満・睡眠時無呼吸症候群のある方は、鎮静関連の偶発症リスクが高いとされています。
ASA術前評価分類ⅣおよびⅢ以上の患者でも同様にリスクが高いとされています。
- 高齢者(特に70歳以上)…薬剤代謝が低下し、少量でも過鎮静になりやすい
- 肝機能障害・腎機能障害のある方…薬剤の代謝・排泄が遅延し、効果が長引く
- COPD・呼吸不全のある方…呼吸抑制の影響を受けやすい
- 心疾患のある方…血圧低下・不整脈のリスクが高まる
- 睡眠時無呼吸症候群・高度肥満の方…気道管理が難しくなる
- 向精神薬・睡眠薬・安定剤を常用している方…鎮静薬が効きにくい、または予想外に効きすぎることがある
- 妊娠中・授乳中の方…胎児・乳児への影響があるため、検査の目的を含め担当医との相談が必要
これらに該当する方は、検査前の問診・診察で必ず申告してください。担当医が薬剤の種類・量を適切に調整し、必要に応じて麻酔科医と連携します。
お一人おひとりに合わせて鎮静を調整します
当院では患者さんの状態に合わせて鎮静剤の量を調整し、検査後はリカバリースペースでお休みいただきます。持病やお薬がある方も、事前にご相談ください。

安全に内視鏡検査を受けるための6つのポイントとは?
鎮静剤を使った内視鏡検査を安全に受けるためには、事前申告・当日の準備・検査後の行動制限の3段階で6つのポイントを守ることが重要です。
ポイント①:持病・服薬・アレルギーを正確に申告する
鎮静前評価は安全な検査の土台です。
- 現在服用中の薬(血液をサラサラにする薬・睡眠薬・安定剤など)
- 過去の薬剤アレルギーの有無
- 心疾患・呼吸器疾患・肝臓病・腎臓病などの既往歴
- 飲酒習慣(飲酒量が多いと鎮静薬が効きにくい傾向があります)
- 妊娠中・授乳中かどうか
ポイント②:検査前の絶食・絶飲を守る
鎮静剤使用時は、胃内容物の誤嚥リスクを防ぐために検査前の絶食(通常は前日夜21時以降)と絶飲(検査2時間前以降は水も不可)を厳守してください。指示を守らないと検査が中止になる場合があります。
ポイント③:検査当日は車・バイク・自転車の運転をしない
鎮静剤の効果が完全に消えるまで、検査当日は自動車・バイク・自転車の運転は禁止です。日本消化器内視鏡学会も明確に注意喚起しています。公共交通機関の利用、または家族・知人の送迎を手配してください。
ポイント④:検査中のモニタリングを受け入れる
検査中は心電図・血圧・パルスオキシメーター(血中酸素飽和度)による継続的なモニタリングが行われます。これにより呼吸抑制・血圧低下などの副作用を早期に発見・対処できます。センサーや電極が装着されますが、安全のために欠かせない処置です。
ポイント⑤:検査後はリカバリールームでしっかり休む
鎮静剤の効果は検査終了後もしばらく続きます。意識がはっきりするまでリカバリールームで安静にすることが重要です。当クリニックでも専用のリカバリールームを完備しており、スタッフが覚醒状態を確認してから帰宅の許可を出します。
ポイント⑥:検査後の説明はメモを取る・同伴者に聞いてもらう
ミダゾラムの逆行性健忘効果により、検査後の医師からの説明内容を忘れてしまうことがあります。可能であれば家族・知人に同伴してもらい、説明を一緒に聞いてもらうか、書面で受け取るようにしましょう。
鎮静剤を使う内視鏡検査のメリットとデメリットは何か?
鎮静剤使用の最大のメリットは苦痛・不安の軽減と次回検査への抵抗感の低下、デメリットは運転禁止・逆行性健忘・呼吸抑制などのリスクです。
メリット
- 検査の苦痛が大幅に軽減される…胃カメラでは咽頭反射(オエッとなる感覚)が抑えられ、大腸カメラでは腸が伸びる際の腹痛が和らぎます。
- 精神的な不安・緊張が和らぐ…「内視鏡が怖い」という方でも、リラックスした状態で検査を受けられます。
- 安静が維持しやすくなる…体動が少なくなるため、医師が精度の高い観察・処置を行いやすくなります。
- 次回検査への抵抗感が低下する…「つらかった」という記憶が残りにくいため、定期検査を継続しやすくなります。
デメリット・注意点
- 検査当日の運転ができない…帰宅手段の事前確保が必要です。
- 逆行性健忘が起こりうる…検査前後の記憶が低下・消失することがあります。
- 呼吸・血圧への影響…モニタリングと適切な対処が必要です。
- 覚醒まで時間がかかる…検査後に一定時間の休憩が必要で、帰宅時間が遅くなることがあります。
- 追加費用が発生する場合がある…施設によっては鎮静剤使用に別途費用がかかります。
鎮静剤を使わない検査でも医師の技量と患者との信頼関係によって苦痛が和らぐケースもあります。患者さんの状態・希望・検査内容を踏まえて担当医と相談することが大切です。

かなもり内科婦人科クリニックではどんな内視鏡検査が受けられるのか?
かなもり内科婦人科クリニック(埼玉県さいたま市緑区・浦和美園駅徒歩1分)では、日本消化器内視鏡学会専門医が鎮静剤を使用した苦痛の少ない胃カメラ・大腸カメラ検査を提供しています。2025年5月開院のメディカルモール内クリニックです。
胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)
院長・金森瑛医師は獨協医科大学卒業後、大学病院・地域基幹病院で十数年にわたり消化器内科の臨床に従事し、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を専門としてきた経歴を持ちます。
- 経鼻内視鏡・経口内視鏡の両方に対応…患者さんの状態・希望に応じて選択できます。
- 鎮静剤使用の胃カメラに対応…ウトウトした状態で検査を受けられます。
- 診察当日の胃カメラ実施に対応(一定の条件を満たす場合)
- 費用目安(3割負担)…生検・病理組織検査追加時で約9,000円
大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)
- 大腸ポリープの日帰り切除に対応…検査と同日に切除でき、切除後のアフターフォローも実施
- 胃カメラと大腸カメラの同日検査が可能…通院・食事制限を一度で済ませられます。
- 費用目安(3割負担)…生検・病理組織検査追加時で約10,000円
院内はバリアフリーで、リカバリールームを完備。鎮静剤使用後は覚醒を確認してから安全に帰宅できる体制が整っています。さいたま市緑区・岩槻区・見沼区・浦和区・南区のほか、川口市・越谷市・草加市・春日部市など幅広い地域からの来院に対応しています。
「以前の内視鏡検査がつらかった」「鎮静剤の副作用が心配で受けられなかった」という方も、ぜひ一度ご相談ください。かなもり内科婦人科クリニックでは、日本消化器内視鏡学会専門医が患者さん一人ひとりの状態に合わせた安全な鎮静管理のもと、苦痛の少ない内視鏡検査をご提供します。浦和美園駅徒歩1分・バリアフリー対応・リカバリールーム完備で、初めての方も安心して受診いただけます。
よくある質問
鎮静剤を使った胃カメラは保険適用になりますか?
胃カメラ自体は保険適用ですが、鎮静剤の使用については施設や薬剤の種類によって保険適用の扱いが異なります。事前にクリニックへご確認ください。
鎮静剤を使うと完全に眠ってしまいますか?
必ずしも完全に眠るわけではありません。目標は「呼びかけに反応できる程度の浅い眠り(意識下鎮静)」です。ただし、薬が効きやすい方は深く眠ることもあります。
鎮静剤使用後、何時間で運転できますか?
検査当日は終日、自動車・バイク・自転車の運転は禁止です。日本消化器内視鏡学会も「薬の効果が完全になくなるまで検査後その日1日は運転を控える」と明記しています。
鎮静剤を使わずに内視鏡検査を受けることはできますか?
可能です。経鼻内視鏡は舌の付け根に触れにくく嘔吐反射が起こりにくいため、鎮静剤なしでも比較的楽に受けられます。希望や状態に応じて担当医と相談してください。
高齢の親が内視鏡検査を受けたいのですが、鎮静剤は大丈夫ですか?
高齢者(特に70歳以上)は鎮静関連の偶発症リスクが高いとされています。事前の全身状態評価を十分に行い、薬剤の種類・量を慎重に調整することで安全に検査を受けられます。
鎮静剤の副作用で記憶がなくなることはありますか?
ミダゾラムには逆行性健忘の作用があり、検査前後の記憶が低下・消失することがあります。検査後の説明は同伴者に聞いてもらうか、書面で受け取ることをお勧めします。
大腸カメラでも鎮静剤は使えますか?
使えます。大腸カメラでは腸が伸びる際の腹痛を軽減するために鎮静剤が有効です。かなもり内科婦人科クリニックでも鎮静剤を使用した大腸カメラに対応しています。
鎮静剤を使った内視鏡検査後、食事はいつから取れますか?
生検(組織採取)を行わなかった場合は、覚醒を確認後に担当医の指示に従い飲食を再開できます。処置内容によって異なるため、検査後に医師・スタッフへご確認ください。
胃カメラと大腸カメラを同日に受けることはできますか?
かなもり内科婦人科クリニックでは同日検査に対応しています。通院や事前の食事制限を一度で済ませられるため、忙しい方にも便利です。
鎮静剤に対してアレルギーがある場合はどうすればよいですか?
過去に薬剤アレルギーがある方は、必ず事前の問診・診察で申告してください。担当医が薬剤の変更や代替手段を検討します。
結論
内視鏡検査の鎮静剤は、適切に使用すれば苦痛を大幅に軽減できる安全性の高い選択肢です。日本消化器内視鏡学会ガイドラインに基づく事前評価・検査中のモニタリング・検査後の安静という3段階の管理を徹底することが安全の鍵です。副作用が心配な方・以前の検査がつらかった方こそ、専門医への相談と事前の正確な申告を最優先にしてください。
かなもり内科婦人科クリニック(浦和美園)
鎮静剤を用いた胃カメラ・大腸カメラのご相談を承っています。副作用や検査後の注意についても事前にご説明します。浦和美園駅より徒歩1分です。
〒336-0967 埼玉県さいたま市緑区美園4丁目10-1 シモンイースト美園/休診日:水曜・日曜・祝日
著者情報
かなもり内科婦人科クリニック 院長 金森 瑛

略歴
2012年
獨協医科大学医学部医学科卒業
獨協医科大学病院 臨床研修医
2014年
獨協医科大学 内科学(消化器)講座
2016年
足利赤十字病院 内科
2019年
足利赤十字病院 内科 副部長
2022年
独立行政法人国立病院機構宇都宮病院 消化器病センター医長、内科系診療部長
2024年
獨協医科大学医学部 内科学(消化器)講座 講師
資格
- 医学博士
- 日本内科学会総合内科専門医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
- 日本肝臓学会肝臓専門医
- 日本医師会認定産業医
所属学会
- 日本内科学会
- 日本消化器病学会
- 日本消化器内視鏡学会
- 日本肝臓学会